「とても優しい先生でびっくりしました。」
この言葉は、先日お越しいただいたとある大人の生徒様からのお声でした。
この方は、会社帰りに趣味思考でできるピアノ教室を探していて、以前習っていたお教室がとても厳しい教室だったとのことでした。
「とにかく楽しくマイペースに、自分の趣味として細々と学べたらそれでいい」
との要望をいただいていました。そのため、とにかく楽しく続けてもらうことをテーマにしました。
さて、
厳しい先生ですか?
優しい先生ですか?
習い事ではよく聞かれることでしたので、
その良し悪しを書いてみたいと思います。
厳しい先生は人間らしい生徒を育て、優しい先生は獣のような生徒を育てる
これは、『名物校長の教育論』狭山ヶ丘高校 校長 小川義男/著
に書いてあった言葉です。
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思い返してみると、高校の時私は鹿児島県内のある進学校に入学しました。
この学校は、進学校の中でもとても厳しい高校でした。
一日6〜7限というのはどこの学校でもあるですが、
私の母校は更に、0限目という、地獄の朝補習と呼ばれる授業がほぼ毎日のようにあり、
これが朝7時台から始まるわけです。(どうやら調べてみるとこれは九州地方に多いようですね)
当時の私の実家は、人口4000名ほどの小さな小さな町の、更に中心地からは遠く離れた山奥にありました。目の前は高千穂の峰と、壮大な牧場。
お店も自販機も街灯すらないような、超ど田舎に住んでまして、
家から町唯一の駅までは約7キロ(もちろんそこまでの道のりにバスなんかありません)離れているような場所に住んでました。
駅まで行くのも大変なわけですが、更にそこから2時間に一本しかこない電車(朝6時発)に飛び乗り、隣町まで山を降りて高校に通っていたわけです。
そんな環境にあって、毎日朝5時起きの生活でした。
朝補習は一応任意と言われていましたが、担任により全く解釈が異なっていました。
朝補習に出ないと授業についていけない。
これは、実質任意という名の強制的な授業です。
優しい担任のクラスだと、
任意なので出席しなくても何も言われることはありません。全て自己責任というわけです。
逆に厳しい担任のクラスだと、
出席しない生徒はその理由を都度問われたそうです。
更に、出席しない日は実家に担任から電話が行くわけです笑
たまたま私のクラスは優しい担任の先生でした。
当時は「ラッキー!」と思ってましたし、他のクラスの友人にも羨ましく思われていました。
特に注意されることもなかったので、次第にクラスは「任意、参加しなくてもいい」という雰囲気から、一人減り二人減り、私もその周囲の雰囲気にすっかり飲み込まれていったわけです笑
最終的には1クラス約40名いましたが、
朝補習の参加者は10名にも満たない状態だったと聞きます。
その担任は、朝補習どころから遅刻しようが、授業をサボろうが、ほとんど怒ることもないので、学年で一番「生徒に甘くて、楽な先生」とさえ言われていました。
しかし、朝補習だけでなく、時間が経つにつれ、クラスの授業自体揃う日の方が珍しくなり、
授業にどんどんついていけない生徒が続出し、
・赤点の基準が40点
・4教科赤点をとると退学という
学校でしたので、最終的には出席数、或いはテストの点数が足りず
クラス内から4名の落第、退学者を出してしまいました。(私は、セ〜フ!!でしたよ笑)
そんな母校には、特別クラスという当時、
1学年350名ほどいましたが、その中でも特に選りすぐりの60名だけが入れる超特進クラスというのがありました。
朝補習に残った生徒たちはそのステップを順調に駆け上がり、
国立大、有名私立大へと進んでいくわけです。ドロップアウト組は授業についていけず悲惨な時間を過ごすわけです。
ラッキーと思っていた優しい先生は、
最終的には、朝補習の出席率どころか、通常授業の出席者すら少なく、
成績も悪く、退学者をしかも同じクラスから数名出すという、学級崩壊クラスを作ってしまいました。
自己責任
最初に書きましたが、自己責任。
というところが優しい講師を選ぶ際に重要なポイントです。
優しい先生を選ぶ上で重要なのは、その人が自己責任で物事を解決できる年齢であること。
働いている、大人であること。
それこそ、自分のお金で通っている大人であれば、習い事は自己判断、自己責任で通っているので、優しいレッスンがよければそれでも構わないと思っています。
ただし、子供の場合は違います。
保護者様あっての習い事です。
教養のためにレッスン費を払っている以上、
その子にとってなるべく多くの何かを残して上げる必要があります。
半端にはできないですよね。
・最後までやり遂げることを学ぶ。
・日々練習をすることで継続的な力をつける。
・人前で演奏する以上最大限の努力を覚える。
ちなみに、厳しいといっても私が子供の頃は当たり前にそうであったように、
威圧的、暴力的にということではありません。もちろん、面白くて楽しくて好かれる先生たちであって欲しいと思います。
ただし、子供のために怒るときは怒る、それも必要です。
楽しいレッスンを基本に、最低限の約束を果たせていないとき、これは学ぶ立場として甘いなと思えば怒ることもあるかもしれません。
かつて私も、注意をしない優しい先生を一時は「楽だ、ラッキー!」と思っていましたが、
今となっては、その担任を思い出し、優しい先生だったなーと思い返すことはあっても
「尊敬できた先生だったな」と思うことはありません。
その後、落第に追い込まれた生徒は?もうすっかりいい年齢の大人になり社会で働いてますし、それはそれで当時の経験から頭を打って、みんな頑張って立派になってますが、その担任に対し「今となっては、、、」と全員がそれぞれ思うことはあるようです。
まぁ全て、自己責任何ですけどね笑
一時的な楽さを与え続けることは、本当の意味で育てるということにはならないと思います。
優しい先生とは?レッスンが楽しくなる。
厳しい先生とは?成長につながる。
それぞれの良いところを活かして、バランスよく楽しい成長できるレッスンを提供できるようになれたらと思います。
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